この記事では2度の1次試験不合格を経て、3回目の挑戦で英検1級合格を勝ち取った経験をもとにスコアアップに役立った参考書や各受験回のスコア分析を通じて、スコアアップに有効な学習方法、最短合格するための学習計画を紹介します。
※筆者が英検1級に合格した時のスコア表
この記事の目次
英検1級1次試験の対策について
英検1級の試験内容と合格ライン、過去問を解く重要性についてはこちらの記事に詳しく書いてありますので参考にしてください。
英検1級の出題内容と合格ライン:過去問を解いて合格までの距離を確認しよう!
今回の記事では、実際に1度過去問を解いて問題内容について把握、現在の自分の実力と合格までの距離がはっきりしたところで、次のステップとして1次試験のスコアアップに向けてどのように学習していくかについて考えたいと思います。
早速ですが、筆者が過去3回英検1級の1次試験を受けた時のスコアの履歴が以下です。
1回目と2回目では合計スコアにほとんど差がなく、学習効果を実感できませんでしたが、3回目の受験ではリーディングで大きな貯金を作り、無事1次試験を合格することができました。1回目、2回目の受験と3回目の受験の大きな違いは学習期間と時間でした。1、2回目受験した際は、試験1ヶ月くらい前まではなかなか勉強に身が入らず、1ヶ月前くらいから本腰を入れて学習するような感じでした。2回ともに結果がなかなか振るわなかったので、3回目は前回までとは違い、3ヶ月間みっちり勉強する時間を確保しました。この3ヶ月間は学習が上手く習慣化できていたこともあり、それがスコアに反映されたのだと思います。
例えば3度目の受験の前のラスト1ヶ月は、週に1度本番と同じ時間割で過去問を解くようにしていました。平日は机に向かう学習時間は1時間程度、ながら学習でプラス1時間~2時間程度、英語に触れる時間を作りました。平日はなかなかまとまった学習時間の確保が難しいので、ながら学習や隙間時間を見つけて学習を深めていくことが大切です。私の場合は、朝出社前にリスニング1問分ディクテーション、車での通勤時間中にシャドーイング、昼休憩中にリーディングの長文、帰宅後、ライティングを1問、入浴中リーディング長文の音読、就寝前に単語の見返し、といった感じで学習に取り組んでいました。
なるべく3技能バランス良く学習するように心がけていたことと、今から何の勉強をやろうと悩む時間がもったいないと感じていたので、上記のようにこの時間にはこれをすると予めやることを決めていました。事前にやるべきことを決めてしまうことで、無意識的に学習をスタートすることができ、学習が習慣化されるのでお勧めです。休日は、新しい単語のインプットと過去問にまとまった時間を当てるようにしていました。
英検1級の合格には学習時間の確保が最も重要です。やる気やモチベーションに左右されずに安定して学習時間を確保するためには学習の習慣化が有効です。この時間にはこれをすると予め決めておくことで習慣化しやすくなるのでぜひみなさんの学習計画の中にもこのような習慣化の法則を取り入れてみてください。
学習教材については、過去問が全学習のベース教材になるので、どれでも良いので1冊過去問集は持っておくと良いです。私の場合は旺文社の6回分の過去問が付いているシリーズを購入しましたが、現在では9回分の過去問が載っている英検赤本シリーズも別の出版社から出ているのでどちらかお好きな方を選択すれば問題ありません。
2025年度版 英検1級 過去6回全問題集【音声アプリ・ダウンロード付き】 (旺文社英検書)
2025年度版 英検1級 過去6回全問題集(音声DL付) 2025年度版 英検過去6回全問題集シリーズ Kindle版
英検1級過去問集(2025年度版) (英検赤本シリーズ)
リーディングスコア
続いては分野別にスコアの履歴と学習について紹介します。私の場合、リーディングは第1回目の時点から合格ラインに達していたので比較的得意分野と言えます。リーディングに関しては、何はともあれ全35問中の22問を占める単語問題の対策が最重要です。全体に占める問題数が多いというだけでなく、平易な文章では、なかなか見かけないような語句が大半を占めるので、英検1級に特化した単語学習をしないとハイスコアを望むのは難しいです。
単語学習におすすめの教材はずばり以下の英検1級単熟語EX です。
出る順で最短合格!英検1級単熟語EX 第2版 (出る順で最短合格シリーズ)
出る順で最短合格! 英検1級単熟語EX 第2版 Kindle版
私自身英検1級の単語学習はこの1冊のみでしたが、1回目の受験のときから安定して得点することができています。圧倒的な出題範囲カバー率を誇っており、また掲載順の工夫(過去の頻出単語順に掲載がされている)が素晴らしく、前の章から順番に学習していけばそれがそのまま学習優先度の高い単語というのが有難いポイントです。
第1回を受験した時はUnit 1~10と18,19、第2回を受験した時はUnit 1~7と18,19 (時間が経って第1回で学習したときよりも覚えている単語が少なかった)、第3回を受験した時は全てのUnitを仕上げて受験に臨みました。基本的にはUnit1~順に学習していけば良いですが、例外として駆動詞は毎回4問確実に出題されるので、時間がない時でも最低限Unit18と19は見ておきましょう。この本に載っている単語を網羅しておけばほぼほぼ大問1は満点取れるので非常に心強い教材です。
単語学習はやらないと全くと言っていいほど得点できない分野ですが、逆に言えば一度習得してしまえば安定して得点を確保できる分野でもあるので、はじめのうちは学習時間の大部分をここに当てると良いでしょう。長文を読む際にもここで学習した語彙が活きることが多いです。
長文対策は以下の参考書を使用していました。
最短合格! 英検1級リーディング問題完全制覇 (完全制覇シリーズ)
最短合格! 英検1級リーディング問題 完全制覇 Kindle版
正直なところ内容が難しい部分もあり、私自身、読了していません。2/3程度まで問題を解きましたが、非常に歯応えがある文章が揃っています。本番の試験よりもやや難易度も高いですが、これらのややレベルの高い問題に慣れるておくことで本番で文章が読みやすく感じます。試験のときに実力を発揮するためには精神的な部分も大事になりますが、いつもより読みやすい、簡単かもと感じることで精神的な余裕につながり、試験本番の時に焦る可能性を低減することができます。実際、3回目の試験の前には、過去問の長文は6回分、解き終えていたのでこちらの教材の長文問題を進めていたのですが、そのおかげもあって試験当日はサクサク文章を読むことができ、自信を持って解答することができました。
リーディングの学習の優先順位としては先に単語学習を終了させて、終わったら長文学習に移行するのが良いです。長文は35問中13問の出題で単語問題よりは比重が小さいことと、解くのにも時間がかかるので短期間でのスコアアップを目指す場合は単語問題に注力して長文問題はある程度見切りをつけてしまっても良いかと思います。最短で合格を目指す場合は、比較的短期間でスコアアップが望める単語問題とライティングの学習に集中して、時間に余裕があれば長文の学習を行うと良いでしょう。
リスニングスコア
リスニングは過去問のみ解いていて他に特に対策はしていませんでした。過去問の問題をディクテーションして、解き終わった問題は定期的にシャドーイングするような学習を行いました。リスニングはなかなかスコアアップが出来なかったので個人的には課題が残っている分野です。100分間の筆記試験(リーディング+ライティング)が終わった直後に連続してリスニング試験が始まるので集中力を保つのが難しいなと感じています。集中力が下がっても難なく聞き取れるくらいのリスニング力が求められているのだと思いますが、そこまでの実力がなかなか身に付きませんでした。
ライティングスコア
ライティングは要約問題は無対策、英作文は以下の参考書を使用して学習していました。
英検1級ライティング大特訓 単行本(ソフトカバー)
英検1級ライティング大特訓 (アスク出版) Kindle版
ライティングに関してもスコアがあまり伸びませんでした。1回目の時は単純に力不足、2回目の時は英作文はある程度できたのですが、英文要約でスコアが伸びず、3回目のときは英文要約はある程度できたのですが、英作文で時間不足でした。ただライティングの採点はかなり甘めに感じます。参考書に掲載されているような解答が書ければもちろんそれが望ましいのですが、そうでなくても合格点には十分に達することができます。
実際、私の経験で言うと3回目の受験時、時間がぎりぎりになってしまい、英作文で3つの理由のうちサポートまでかけたのは1つの理由のみで残り2つの理由は1文のみ、理由も重複気味という状態で文字数も指定200-240 wordsに対して150 words前後で大幅に不足していました。それでも上記のように5,5,6,6で22点は得点できました。
2回目の受験の時は、論理構造が甘く、理由が重複しており、文法ミスもありましたが、3つの理由が文字数制限通りに記載できたので7,5,7,6で25点という合格ラインの得点を取得することができています。以上のことから、英作文に関して言えば文字数制限通りに3つの理由が書けていれば基本的には合格ライン付近の得点はできるのではないかと思います。
限られた制限時間の中で与えられたお題に対して3つの理由を考えるというのは、ゼロベースで生み出すのはかなり難しいタスクです。上述の参考書は、主要なお題に対して3つの理由を挙げられるようになるのはもちろん、英作文の序文、ボディ、結論の構成においてそれぞれで使える表現などもまとめられており、英作文対策はこの1冊で十分です。要約問題の対策は時間がなく、出来ませんでしたが英作文がある程度書けるようになっていれば要約問題もおのずと合格ラインには乗せることができます。
英検1級1次試験 最短合格のための学習計画
英検1級を合格したあと改めて自分の学習を振り返ってみると少し遠回りの学習になっていたなと感じる部分もあるので、もし自分がまた一から英検1級の合格を目標に学習取り組むとしたらどのように学習を進めていくかを考えました。まず、前提として英検1級の1次試験は専用の学習をしないと得点が難しい分野と地力である程度得点が望める分野に分かれています。時間が許すのであれば、全ての分野網羅的に学習するのが望ましいですが、学習時間が限られている場合には、対策学習をしないと得点が難しい分野について学習を進めていくことが英検1級合格への近道となります。対策学習が必須の分野というのがリーディングの大問1単語問題とライティングの英作文の2つです。前者は日常生活では出会う機会がないような難しい単語が出題される、後者は与えられたお題に対して背景知識なしで即興で3つの理由を考えることが難しいです。これらは学習すればするだけ得点が伸びていく分野なのでまずはここを集中的に仕上げていきましょう。
これらの分野の学習がある程度進んできたら、次は配点の大きい項目、ライティングの要約問題の対策に進みます。ライティングは英作文と英文要約の2問しか出題されない関係上、各問に対する配点が大きいです。試験の際に問題を解く際もリーディングから順に解いていき、ライティングを解く時間がなくなってしまうくらいであれば、ライディングを先にといてリーディングの長文を捨ててしまう方が合格の可能性があります。ライティングで合格点を取れれば、リーディングは単語問題を完答できれば長文は運任せで解答しても合格点に乗るというカラクリです。ライティングの要約問題の対策も進んできたら、残りの分野のリーディングの長文とリスニングの対策をしていきます。まとめると学習の優先順位は以下です。
- リーディング単語、ライティング英作文
- ライディング要約文
- リスニング、リーディング長文
はじめは学習時間の全てを①番の分野に当てて、①番の分野の学習が進んできたら②番、③番の学習時間に徐々にシフトしていきます。基本戦略として学習時間あたりのスコアアップ効率が良い分野に多くの学習時間を当てるのが望ましいので、はじめのうちは①番の分野を集中的に学習し、ある程度学習が進んできたら少しずつ学習時間を次の優先分野にシフトしていきます。これは個人の得意分野や学習進度にもよりますが、例としては以下のような感じです。
- リーディング単語、ライティング英作文 100% ~ 1ヶ月目
- リーディング単語、ライティング英作文 60% ライディング要約文 40% ~ 2ヶ月目
- リーディング単語、ライティング英作文 40% ライディング要約文 40% リスニング、リーディング長文 20% ~ 3ヶ月目
- リーディング単語、ライティング英作文 20% ライディング要約文 30% リスニング、リーディング長文 50% ~ 4ヶ月目
効率的な学習計画を立てることで英検1級の合格に大きく近づきます。英検1級の学習をするにあたり何から勉強したら良いかわからないという方はぜひ上記の計画を参考にしてみてください。